郷土館日誌

主屋の棟瓦が新しく復元されています

4月の終わりに主屋の屋根の頂上部分に、新しく復元された鬼瓦が取り付けられ、5月に入って棟瓦が新しく復元されています。

屋根の頂上の結合部にある棟瓦は雨の影響を受けやすく、棟の下地に雨水が侵入しないように積まれており、大きな邸宅では象徴的存在にもなっています。

 (工事前の棟瓦)

工事では、まず大量に使用されていた古い棟瓦や葺き土、棟木がすべて取り除かれました。

そのあとに、密着性や防水性のある南蛮漆喰を塗り込みながら、短冊形の新しいのし瓦が積み上げられていきました。

のし瓦は、一列北側に54枚、南側に54枚、それぞれが銅線で結ばれて固定され、計108枚が一段に敷かれています。

また、塗り込んだ南蛮漆喰の中には水分が吸収されるように破損した瓦の破片を埋め込んでいます。

そして、のし瓦は雨水が侵入しても外に流れ出るように千鳥状に積まれていっています。

様々な工夫をされながら一段一段と積み上げられていき、14段という高さまで積み上げられました。

そして、合わせて長さ13mの樹脂製の棟木が中央に取り付けられました。

 

最後に冠瓦が被せられて、平安邸の新しい棟瓦が復元されていっています。美しく雄大な棟瓦はとても見応えがありました。

 

 

昭和の初めごろのこいのぼりを展示しています

地域の方から、蔵で見つかった昭和の初めごろの「こいのぼり」をいただきました。長さ約6mの「まごい」と約4mの「ひごい」の、とても大きなこいのぼりをミューゼレスポアールの窓際に展示しています。

 

「まごい」と「ひごい」のうろこの部分には、長寿の願いが込められた鶴と亀のデザインも見られます。

明日からGWが始まります。新緑が美しい季節になりました。4/27~29、5/3~6のGW中は、郷土館は旧平賀邸とミューゼレスポアールを無料で開放しています。こいのぼりを見に、お子さん連れでぜひお越しください。

 

復元された新しい鬼瓦の取り付け作業が始まりました

12月に取り外された旧平安邸の主屋の鬼瓦が、淡路島で復元されて新しくなり、本日取り付け作業が始まりました。

波と雲を表したとても大きな鬼瓦は旧平安邸のシンボル的存在です。新しい鬼瓦は「あし」の部分が4分割、「あたま」の部分が3分割、計7分割されています。(元の鬼瓦は5分割でした)

7つを合わせると、幅約2m、重さ約100㎏のとても大きな、立派な鬼瓦になります。

 

部分ごとに順にクレーン車で屋根の上まで運ばれました。

 

5人の職人の方が、取り付け場所で、まず「あし」の一番下の部分を両側に置いて、黒いホルマル樹脂被覆銅線でくくりつけて固定されました。

その上に「あし」を置き、「あたま」の下の部分を重ねて置いて、ボルトを穴に入れて固定していきます。

最後に一番上の「あたま」の部分を置きます。

そして鬼瓦が倒れないように「あたま」と棟木につけたボルトを、黒い樹脂の銅線でくくりつけて固定します。

鬼瓦が下から見て美しく見えるように、破風の中央と鬼瓦の中央が縦にまっすぐに揃うように、

鬼瓦の両側が水平になるように何度も水平器で図りながら、重い瓦を一つ一つ調整しながら合わせていっています。

 今日は西側の鬼瓦が棟の上に上がり、明日は東側の鬼瓦の作業が進められます。

蔵の中の耐震補強工事 

3月からは蔵の中の耐震補強工事が続けられています。

北蔵や乾蔵の1階は展示室として活用されており、四隅には火打梁(ひうちばり)という斜めに組まれた耐震補強材が取り付けられました。 

 

サイズを測ってぴったりと合うように、何度もかんなをかけて調整され、古色が塗られて取り付けられました。

また、金剛組の方には、木造家屋を建築する際に木材を組み合わせるときの組手である仕口(しくち)や継手(つぎて)について見本を使って説明していただきました。

大正時代に建てられた平安邸が100年以上経っても頑丈に維持されている、古来からの在来工法の仕組みについて教えていただきました。

 

 

 

主屋の屋根工事

今週から主屋の屋根の工事が始まっています。大きな屋根全体を覆うように、作業をするための足場がたくさん作られました。

 

12月に鬼瓦が取り外され、現在は最上段の陸棟(りくむね)の解体が進められており、大量の熨斗(のし)瓦や葺き土が取り除かれています。

 

解体時には、瓦を留め付けている建築当時(100年以上前)の棟木(むねぎ)が確認されました。長年の雨水の侵入により、原形をとどめないほど不朽していました。

今日の夕方には、積まれていた熨斗瓦や葺き土がすべて取り除かれました。

 

 

 

 

主屋や蔵、納屋の屋根の修繕工事が始まります

離れや北蔵などの工事に続いて、主屋や南・東方面にある巽蔵、大納屋、長屋門などの屋根の修繕工事を中心とした耐震補強工事が行われることになっています。現在、工事のための足場が作られています。

 

 

瓦を外して土を取り除いたり、破損した瓦は取り換えるなどの作業が行われていきます。

普段は掲示板が付けられている薬医門も修繕されるために開けられました。

桜満開 お花見にどうぞ

郷土館のアトリエ平通前の桜 ソメイヨシノが満開となりました。昨日の雨風で心配しておりましたが、見事に咲いています。

ミューゼレスポアールへの通路のしだれ桜も美しく咲いています。

先日ボランティアの方が植え替えてくださったミューゼの窓際の芝桜も咲いています。

今週が見頃となり土日は無料開放になりますので、洋館の平賀邸や美術館のミューゼレスポアールの見学とともに、お花見や写真撮影などにお立ち寄りください。

 

離れ・蔵の屋根・壁・雨樋の修復工事 完成

昨年の11月から続けられてきた離れや蔵(北蔵・乾蔵・西納屋・西蔵)の屋根、壁、雨樋などの修復工事が完成しました。離れや蔵は、重くなった屋根の古い瓦やその下にあった杉皮や土がすべて取り除かれて、

 

 

小屋組の梁や垂木が補強されて、

取り付けた構造用合板の上に、たくさんの新しい瓦が丁寧に葺かれています。

 

棟瓦や波と雲を表した新しい鬼瓦(前方)も取り付けられました。

緑青の銅板は取り外され、深緑色のステンレス製鋼板が取り付けられました。既設の銅製の雨樋は穴が開くなど経年劣化しているため、内樋を入れて当時の姿を残しています。

 

取り外された銅板の裏は、酸化していない当時の輝きが残っています。

 

長年の劣化や雨風で漆喰が剥がれた壁も補修し、美しくなりました。

来週には離れや蔵を覆っていた大屋根や足場が撤去されるため、金剛組の方が修復したところを一つ一つ分かりやすく説明してくださいました。

 

時間と手間をかけて丁寧な作業が続けられています。次は大きな主屋の屋根の瓦の修復、小屋組、台所、事務室等の耐震補強工事が行われていくことになります。

 

バラ・ハーブボランティア

昨日ボランティアの皆さんと職員全員で、平賀邸周りの庭のバラやハーブの剪定や草ぬきなどの手入れを行いました。

 

ミューゼレスポアールの窓際のスペースでは、草ぬきをしながらシバザクラの植え替えを行いました。

 

寒暖差の激しい毎日が続きますが、もうすぐ暖かくなって、桜(ソメイヨシノ、しだれ桜)やハナミズキなどの花が咲き、新緑の季節を迎えます。庭のバラやハーブ、シバサクラも彩りを添えてくれることでしょう。ボランティアの皆さん、ありがとうございました。

離れ・蔵の屋根・壁・地桁の修復工事

離れ・蔵の屋根の瓦葺きや壁の補修工事が進められています。

 

屋根のサラシ葺きでは古くなった銅板に代わって、銅板の色合いに似せたステンレス鋼板が取り付けられ、

野垂木に取り付けられた構造用合板と瓦桟の上に、新しい淡路土の古代いぶし瓦が美しく葺かれています。

 また、蔵の土壁の補修も行われています。

古い漆喰を取り除いて、砂を混ぜた砂漆喰で下地調整を行っています。今後、段階を経て漆喰の仕上げ塗りをしていきます。

 

漆喰は防火性や調湿性に優れ、消石灰やスサに、つなぎとなるのりを混ぜて時間をかけて炊いて作るそうです。

離れの室内では、廊下の地桁(じげた)を取り付けるための準備が行われています。

地桁と柱の留めつけ部の仕口(しくち)の加工をしています。

 

古色が塗られ、完成した地桁が取り付けられました。

丁寧な作業が続けられています。

旧平賀邸に昭和初期製のラジオが寄贈されました

 旧平賀邸を建てられた平賀義美氏が所蔵されていた昭和初期製のラジオを、ご親族の方から寄贈していただきました。

 

 ラジオは、当時の大阪変圧器株式会社で製作されたヘルメスラジオで、1932~33年頃、約90年前に製作されたものです。本体とスピーカーが一体化した「ミゼット型」と呼ばれ、天部が丸くなっています。サイズは縦40.5センチ、横31センチ、奥行24.5センチで大きく感じられます。

 旧平賀邸が建てられたのが1918(大正8)年。平賀義美氏がこのラジオを昭和初期に購入されて、自宅で使用されていたものと思われます。木製のレトロな雰囲気のラジオは平賀邸にとてもよく合っています。
 棚の上にはステンドグラスがあり、背景はイギリスの「モダンデザインの父」といわれるウィリアム・モリスの壁紙です。来館された折は、書斎の棚に展示していますので、ぜひご覧ください。

平賀邸の前の梅の花が満開です

 旧平賀邸の前の梅の花が美しく咲いています。

 大正時代に建てられ、映画やドラマのロケ地にもなっている、美しい景観の落ち着いた佇まいの旧平賀邸。

 土曜、日曜、祝日は無料開放していますのでお立ち寄りください。

離れ・蔵の屋根工事

離れの建物や蔵の屋根の工事が続けられています。

離れの屋根は、野垂木に同寸の角材を取り付けて補強を行い、母屋に調整材を入れてむくり屋根(傾斜が上に凸状に湾曲している屋根)を復元しています。 

 

野垂木の上に構造用合板が1枚1枚取り付けられて補強されています。

その上に瓦桟が取り付けられて、新しい美しい淡路土の古代いぶし瓦で葺かれていきます。

 また、離れの北にある西蔵や西納屋、乾蔵、北蔵の下屋根の古い瓦とその下の土を取り除いていく大変な作業も行われました。

 

その上に新しい構造用合板と瓦桟が取り付けられて、

新しい瓦が葺かれていっています。

 

長年の風雨で剥がれていた蔵の土壁の漆喰が落とされて、新しい漆喰で補修されることになっています。

東谷小学校3年生「郷土館に行こう」

 先日の15日木曜日の午後、地域の東谷小学校3年生の子どもたちが社会科学習で郷土館に来てくれました。

 あいにくの雨になり傘をさしながらでしたが、事前に郷土館について学習してきた冊子を手に持って、3クラスに分かれて順に見学していきました。

 平賀邸では、洋館の特徴を聞いて見学しながら、自分たちの家との違いを考えたり、お楽しみのトランプの4つのマークも探しました。

 鉱山資料室では、むかしの銅の製錬の仕方やふいごの使い方、製錬時に出る鉱滓(からみ)の話を聞いたり、

現在の工事中で分かった、屋根の銅板の裏の酸化していない銅の輝きにはびっくりしていました。

 ミューゼレスポアールでは、青木大乗画伯や平通武男画伯の話を聞いて、絵画を見学しながら自分のお気に入りの絵を決めていました。

 今年は、工事のため平安邸の中や毎年開催しているひな人形展、昭和レトロ展などを見てもらうことはできませんでした。10~11月になったら新しく開館しますので、ぜひ見に来てくださいね。

主屋小屋組みの床板復元 離れの屋根の工事

 昨年から続けられている平安邸主屋の小屋組みの耐震補強工事で、床に新しく留めつけられた構造用合板の上に、元からあった古い床板が留め付けられて,います。

 外されていた古い床板は全部で約180枚。元の位置に戻せるように1枚ずつ印・番号が付けられており、順に留め付けられています。構造用合板の上に、また桔木や点検口の部分に合うように、床板の長さ厚さを調整しながら丁寧に復元されています。

 また、主屋座敷の床下の柱や地固めには100個あまりの金具の耐震リングが取り付けられています。

主屋座敷1階の様子

  離れの屋根の工事では、新しく瓦拭きするための準備が進められています。

 小屋組みの梁や垂木を角材で補強したり、

元の屋根の野地板に使われていた漆喰が剥がれないように、留め板が取り付けられました。

 小屋組みの中をよく見ると、天井を吊り上げるための竹がたくさん取り付けられており、

瓦の下に敷かれていた杉皮が外されて保管されています。

  屋根の梁や垂木が補強された後に、合板の野地板が付けられ、新しい瓦が取り付けられることになっています。

 

小屋組みの耐震工事

 平安邸の主屋の大きな屋根を構成する小屋組みでは耐震工事が続けられています。

 11月から床板が1枚1枚取り外され、

2階の床組みに柱と梁とを角材で補強して金具の耐震リングを取り付けられてきました。

 そして、12月からは床板を水平にするために、床板を支える梁一本一本の上部に厚さの違う調整材を留め付け、

その上に、分厚い構造用合板が一枚一枚が留め付けられて計約60枚で補強され、床がとても安定するようになっています。

 角材を組み合わせた新しい点検口も6か所作られています。

 また、屋根が上層・下層に分かれて軒先が長くなる大きな家屋に見られる桔木(はねぎ)が4か所あります。軒先が垂れ下がらないように、それぞれ桔木とそれをおさえる桔木おさえが取り付けられています。

 梁や桔木に使われている丸太など自然の材料を相手に、水平を保つための調整材や点検口の下地の角材、そして構造用合板を留め付けていく作業は、とても時間と手間がかかる大変な作業です。

 今後は、留め付けられた構造用合板の上に、取り外された板を同じ場所に再度取り付けて復元していくことになります。

本年もよろしくお願いいたします

 新しい年2024(令和6)年が始まりました。現在、旧平安邸が耐震補強改修工事で休館中ですが、旧平賀邸とミューゼレスポアアールは土曜、日曜、祝日は無料開放しています。

 郷土館は自然に囲まれ、冬の雪景色、春の梅や桜、ハナミズキ、初夏の新緑、花壇のバラやハーブなど、季節に応じて様々な風景が見られます。大正時代の近代建築の洋館平賀邸や川西ゆかりの青木大乗画伯や平通武男画伯の絵画を鑑賞することができ、スケッチや写真撮影もできます。

 今年の9~10月頃には工事も終了し平安邸を新たに開館してイベントや講座も随時開催していく予定です。本年も郷土館をよろしくお願いいたします。

今年もありがとうございました

 今年もあとわずかとなりました。明日12月28日(木曜)~1月5日(金曜)まで休館となり、1月6日(土曜)から土曜・日曜・祝日は平賀邸とミューゼレスポアールを無料開放します。
 今日は、シルバー人材センターの皆さんが先日から3日間をかけて、平安邸の庭や

 ミューゼレスポアールへの通路のハナミズキやしだれ桜などの剪定をされ、とてもきれいになり、すっきりとしました。

 平安邸の庭は現在工事中で、秋まで見てもらえないのは残念ですが、ハナミズキやしだれ桜は春にはきっと美しく咲いてくれると思います。

 郷土館は10月より平安邸の耐震補強改修工事のため休館となり、イベント等も休止となっていますが、9月までは様々な企画展や講座、演奏会などのイベントを開催することができ、3,000人を越える皆さんに来館いただきました。本当にありがとうございました。

北蔵の屋根工事 銅板の裏は…

 先週から平安邸の主屋と離れの耐震工事と並行して、北蔵の屋根の修繕工事が行われています。

 屋根の頂上部分の棟には、雨漏りを防ぐために一番上に箱状の形をした「京箱」瓦が取り付けられていますが、その「京箱」瓦が取り外され、中に入っていた土や木材が取り除かれました。

 その後、屋根の棟瓦を一枚一枚はがして確認して汚れを落とし、元に戻していっています。破損している瓦は取り換えています。

 また、離れのひさしに取り付けられていた一文字葺きの銅板が外されています。銅板は長い年月の間に、銅が酸化した緑青(青みがちな緑色)になっていますが、

その裏を見てみると、当時のままの酸化していない鮮やかに輝く銅板が残っていました。

 主屋のひさしにも多くの銅板が付けられています。雨樋はすべて銅で作られています。
 明治、大正、昭和の初めまで銅の製錬を生業に繫栄していたことを象徴するように、当時の平安邸は銅板のひさしや銅の雨樋が輝いていたことが想像されます。

離れの耐震工事

 現在、旧平安邸の主屋の耐震工事と並行して、離れの耐震工事も行われています。
 離れは、重みで建物が歪み、廊下のガラス戸や部屋のふすま、障子戸が全く動かなくなっていました。また、雨戸がないため、雨漏りで廊下もシミがついて汚れていました。

 今回の工事では、縁側の廊下の板を外して床下の状態を確認しながら、建物の傾きを動かして歪みを直していくための準備をされているそうです。

取り外された廊下の板には、松材の継ぎ目なしの柾目取りの見事な床板が使われています。

廊下の角の部分の床板の組み方も手の込んだ職人技が見られます。

離れの屋根も瓦や土を取り除いて、新しく瓦拭きをする準備が行われています。