郷土館日誌
旧平賀邸に昭和初期製のラジオが寄贈されました
旧平賀邸を建てられた平賀義美氏が所蔵されていた昭和初期製のラジオを、ご親族の方から寄贈していただきました。
ラジオは、当時の大阪変圧器株式会社で製作されたヘルメスラジオで、1932~33年頃、約90年前に製作されたものです。本体とスピーカーが一体化した「ミゼット型」と呼ばれ、天部が丸くなっています。サイズは縦40.5センチ、横31センチ、奥行24.5センチで大きく感じられます。
旧平賀邸が建てられたのが1918(大正8)年。平賀義美氏がこのラジオを昭和初期に購入されて、自宅で使用されていたものと思われます。木製のレトロな雰囲気のラジオは平賀邸にとてもよく合っています。
棚の上にはステンドグラスがあり、背景はイギリスの「モダンデザインの父」といわれるウィリアム・モリスの壁紙です。来館された折は、書斎の棚に展示していますので、ぜひご覧ください。
平賀邸の前の梅の花が満開です
旧平賀邸の前の梅の花が美しく咲いています。
大正時代に建てられ、映画やドラマのロケ地にもなっている、美しい景観の落ち着いた佇まいの旧平賀邸。
土曜、日曜、祝日は無料開放していますのでお立ち寄りください。
離れ・蔵の屋根工事
離れの建物や蔵の屋根の工事が続けられています。
離れの屋根は、野垂木に同寸の角材を取り付けて補強を行い、母屋に調整材を入れてむくり屋根(傾斜が上に凸状に湾曲している屋根)を復元しています。
野垂木の上に構造用合板が1枚1枚取り付けられて補強されています。
その上に瓦桟が取り付けられて、新しい美しい淡路土の古代いぶし瓦で葺かれていきます。
また、離れの北にある西蔵や西納屋、乾蔵、北蔵の下屋根の古い瓦とその下の土を取り除いていく大変な作業も行われました。
その上に新しい構造用合板と瓦桟が取り付けられて、
新しい瓦が葺かれていっています。
長年の風雨で剥がれていた蔵の土壁の漆喰が落とされて、新しい漆喰で補修されることになっています。
東谷小学校3年生「郷土館に行こう」
先日の15日木曜日の午後、地域の東谷小学校3年生の子どもたちが社会科学習で郷土館に来てくれました。
あいにくの雨になり傘をさしながらでしたが、事前に郷土館について学習してきた冊子を手に持って、3クラスに分かれて順に見学していきました。
平賀邸では、洋館の特徴を聞いて見学しながら、自分たちの家との違いを考えたり、お楽しみのトランプの4つのマークも探しました。
鉱山資料室では、むかしの銅の製錬の仕方やふいごの使い方、製錬時に出る鉱滓(からみ)の話を聞いたり、
現在の工事中で分かった、屋根の銅板の裏の酸化していない銅の輝きにはびっくりしていました。
ミューゼレスポアールでは、青木大乗画伯や平通武男画伯の話を聞いて、絵画を見学しながら自分のお気に入りの絵を決めていました。
今年は、工事のため平安邸の中や毎年開催しているひな人形展、昭和レトロ展などを見てもらうことはできませんでした。10~11月になったら新しく開館しますので、ぜひ見に来てくださいね。
主屋小屋組みの床板復元 離れの屋根の工事
昨年から続けられている平安邸主屋の小屋組みの耐震補強工事で、床に新しく留めつけられた構造用合板の上に、元からあった古い床板が留め付けられて,います。
外されていた古い床板は全部で約180枚。元の位置に戻せるように1枚ずつ印・番号が付けられており、順に留め付けられています。構造用合板の上に、また桔木や点検口の部分に合うように、床板の長さ厚さを調整しながら丁寧に復元されています。
また、主屋座敷の床下の柱や地固めには100個あまりの金具の耐震リングが取り付けられています。
主屋座敷1階の様子
離れの屋根の工事では、新しく瓦拭きするための準備が進められています。
小屋組みの梁や垂木を角材で補強したり、
元の屋根の野地板に使われていた漆喰が剥がれないように、留め板が取り付けられました。
小屋組みの中をよく見ると、天井を吊り上げるための竹がたくさん取り付けられており、
瓦の下に敷かれていた杉皮が外されて保管されています。
屋根の梁や垂木が補強された後に、合板の野地板が付けられ、新しい瓦が取り付けられることになっています。
小屋組みの耐震工事
平安邸の主屋の大きな屋根を構成する小屋組みでは耐震工事が続けられています。
11月から床板が1枚1枚取り外され、
2階の床組みに柱と梁とを角材で補強して金具の耐震リングを取り付けられてきました。
そして、12月からは床板を水平にするために、床板を支える梁一本一本の上部に厚さの違う調整材を留め付け、
その上に、分厚い構造用合板が一枚一枚が留め付けられて計約60枚で補強され、床がとても安定するようになっています。
角材を組み合わせた新しい点検口も6か所作られています。
また、屋根が上層・下層に分かれて軒先が長くなる大きな家屋に見られる桔木(はねぎ)が4か所あります。軒先が垂れ下がらないように、それぞれ桔木とそれをおさえる桔木おさえが取り付けられています。
梁や桔木に使われている丸太など自然の材料を相手に、水平を保つための調整材や点検口の下地の角材、そして構造用合板を留め付けていく作業は、とても時間と手間がかかる大変な作業です。
今後は、留め付けられた構造用合板の上に、取り外された板を同じ場所に再度取り付けて復元していくことになります。
本年もよろしくお願いいたします
新しい年2024(令和6)年が始まりました。現在、旧平安邸が耐震補強改修工事で休館中ですが、旧平賀邸とミューゼレスポアアールは土曜、日曜、祝日は無料開放しています。
郷土館は自然に囲まれ、冬の雪景色、春の梅や桜、ハナミズキ、初夏の新緑、花壇のバラやハーブなど、季節に応じて様々な風景が見られます。大正時代の近代建築の洋館平賀邸や川西ゆかりの青木大乗画伯や平通武男画伯の絵画を鑑賞することができ、スケッチや写真撮影もできます。
今年の9~10月頃には工事も終了し平安邸を新たに開館してイベントや講座も随時開催していく予定です。本年も郷土館をよろしくお願いいたします。
今年もありがとうございました
今年もあとわずかとなりました。明日12月28日(木曜)~1月5日(金曜)まで休館となり、1月6日(土曜)から土曜・日曜・祝日は平賀邸とミューゼレスポアールを無料開放します。
今日は、シルバー人材センターの皆さんが先日から3日間をかけて、平安邸の庭や
ミューゼレスポアールへの通路のハナミズキやしだれ桜などの剪定をされ、とてもきれいになり、すっきりとしました。
平安邸の庭は現在工事中で、秋まで見てもらえないのは残念ですが、ハナミズキやしだれ桜は春にはきっと美しく咲いてくれると思います。
郷土館は10月より平安邸の耐震補強改修工事のため休館となり、イベント等も休止となっていますが、9月までは様々な企画展や講座、演奏会などのイベントを開催することができ、3,000人を越える皆さんに来館いただきました。本当にありがとうございました。
北蔵の屋根工事 銅板の裏は…
先週から平安邸の主屋と離れの耐震工事と並行して、北蔵の屋根の修繕工事が行われています。
屋根の頂上部分の棟には、雨漏りを防ぐために一番上に箱状の形をした「京箱」瓦が取り付けられていますが、その「京箱」瓦が取り外され、中に入っていた土や木材が取り除かれました。
その後、屋根の棟瓦を一枚一枚はがして確認して汚れを落とし、元に戻していっています。破損している瓦は取り換えています。
また、離れのひさしに取り付けられていた一文字葺きの銅板が外されています。銅板は長い年月の間に、銅が酸化した緑青(青みがちな緑色)になっていますが、
その裏を見てみると、当時のままの酸化していない鮮やかに輝く銅板が残っていました。
主屋のひさしにも多くの銅板が付けられています。雨樋はすべて銅で作られています。
明治、大正、昭和の初めまで銅の製錬を生業に繫栄していたことを象徴するように、当時の平安邸は銅板のひさしや銅の雨樋が輝いていたことが想像されます。
離れの耐震工事
現在、旧平安邸の主屋の耐震工事と並行して、離れの耐震工事も行われています。
離れは、重みで建物が歪み、廊下のガラス戸や部屋のふすま、障子戸が全く動かなくなっていました。また、雨戸がないため、雨漏りで廊下もシミがついて汚れていました。
今回の工事では、縁側の廊下の板を外して床下の状態を確認しながら、建物の傾きを動かして歪みを直していくための準備をされているそうです。
取り外された廊下の板には、松材の継ぎ目なしの柾目取りの見事な床板が使われています。
廊下の角の部分の床板の組み方も手の込んだ職人技が見られます。
離れの屋根も瓦や土を取り除いて、新しく瓦拭きをする準備が行われています。