絵本と聞けば、幼児向けのものと誰しもが思います。中学生のみんなにとっても小さい頃に読んでもらった絵本の内容は、少なからず残っていませんか。実は大人にとっても、絵本から考えさせらるもの、感じ取れるものがあるのです。私の好きな絵本を一つ紹介します。「おかあちゃんが つくったる」題名に惹かれて読んでみたもので、小さな子ども向けの絵本ですが、親として自身を振り返ること、中学生としても親の気持ちに気づくことができる、共に響くものがあります。
”母子家庭の小学生、おかあちゃんは、ミシンの仕事をしています。ミシンで何でも作れます。・・・・ある時、父親参観の案内が来て・・・言ってしまいました。「・・なんでもつくれるっていうたやん。おとうちゃん、つくってえな」・・・・”
結末を知りたい人はぜひ読んでみてください。
この絵本を読んで”ぞうきん”のことを思い出しました。学校では学年が上がるごとに家から”ぞうきん”をもってくることがあります。ある幼稚園の園長先生が母親向けの話の中で“ぞうきんは必ず手作りで”と話されたそうです。たくさんの反対意見が出ました。作るより買った方が良い(楽?)、忙しくてそんな時間はない、そもそも家にはミシンがない(針で縫える手はあるのに)、ぞうきんにする材料がない(古着は捨てる?)などたくさん出ました。でも、手作り以外は認めませんと園長先生。今の時代ならもっと事は大きくなるかもしれません。
ホームセンターで安く大量にぞうきんは購入できます。そんな時代です。安く、速く、便利に、簡単に・・何でも効率優先の社会です。効率優先で育てられた子どもたちは、将来、自分が親の世話をする立場になった時、きっと効率優先で親をみることになるのでしょう。人は効率で育つわけではないのに。
「おかあちゃんが つくったる」子どもが安心する、おかあちゃんがもっと好きになる言葉だと思いました。
「おかあちゃんが つくったる・・・いつの日か、かあちゃん おれが やったるで」