校長挨拶

「どんな子供に育てるのか」

 教え育てると書いて「教育」、「~教育」なる言葉は巷に溢れています。今後、新たな「~教育」なるものも出てくるでしょう。とりわけ、それらの中で重要なものは二つです。「家庭教育」・「学校教育」です。これらの中身は変わることはあっても、なくなることはないと思います。この二つは手段や方法は異なっていても目指すものは同じです。子供を大人にすること、しかも心身ともに成熟した大人、自立した大人です。社会はこうした大人が一定数いなければ成り立ちません。そうした大人の範となるべき親や教師の役割はとても大きなものであるということです。
 ある人が言った言葉に、どんな子どもに育てればよいのか、一考させられたものがあります。
「親にとって都合のよい子どもに育てるのではなく、誰とでもうまくやってゆける子に育てたい。なぜなら、親と共に過ごす時間は、その子の人生のほん一時、短いもの、人生の大半が他人さまと関わる時間。子どもが幸せになれるのは、親ではなく、他人さまとうまくやってゆけるか次第です。」
 昨今、家庭や学校で、親や教師が子どもたちに望むものの上位にあるものが学力、学力育成なるものです。確かに基礎学力は必要不可欠なものです。学ばなければ何に関心があり、自分に何が向いているのかもわかりません。しかし、学力をつけさせることが子どもたちを大人にさせることの全てではありません。必須ではあるけれど、身につけなければならないことは他にも多くあるということです。教育基本法にある教育の目的は、1 人格の完成 2 国及び社会の形成者としての自覚 です。言い換えれば、個々の自立と多くの人との人間関係調整能力です。
 松下電器(パナソニック)の創始者、松下幸之助さんの言葉に次のものがあります。
 松下電器は何を作っているところかと問われた時、「松下電器は人をつくる会社です。あわせて電気製品を作っています。」と答えられました。松下電器は物を作る前に、人をつくる会社であると言い続けられました。同じような問いを校長として問われれば,どう答えるのでしょう。学校は何をしているところか。「学校は人を育てているところです。しかる後に学力育成に取り組んでいます。」と答えたい。子どもたちを立派な大人に育てる、その一環を担っているのが学校教育であると思います。人を育てるとは、どういうことなのか。常に自問自答しながら、多田中学校の全職員と共に取り組んでいく所存です。

平成28年4月
川西市立多田中学校 校長  西谷 久範