学年・クラスが4月に新しくなりました。この時期、教室前の雑巾かけは新しいぞうきんが並んでいます。きちんと揃ったぞうきんは、見ただけで教室の中がわかるような気がします。ほとんどのものは、売られているぞうきんですが、中には古くなったタオルなどを使った手作りのものもあります。そのぞうきんからお母さんを想像してしまいました。
子どもたちがぞうきんを使うことは、家ではあまりないようです。中にはどう使うのか、搾り方まであやふやな子もいます。家での掃除は、保護者の方がされていることが多いのだと思います。学校では定期考査日をのぞいて、ほぼ毎日、清掃活動があります。教育活動の中に清掃活動があるのは、先進国の中で日本ぐらいだそうです。たかが掃除ですが、されど掃除です。外国人観光客の日本の評価で常に上位を占めているのが、街がきれいなこと、都市も地方も、どこに行ってもゴミがなく、美しく保たれていることです。子どものうちから学校で教育を受けてきた人が社会を構成しているからだと思いました。家庭では掃除することがない子どもたちが大半を占めます。箒、ちりとりに至っては、ない家庭もあり、ぞうきんの絞り方から指導することもあります。ハウスクリーニングという仕事があるように、家庭内の掃除も外部委託できるようになりました。お金を払えば受けられるサービスはたくさんあるのが今の社会です。自分にできることでも人にしてもらえる社会、行政サービスはしてもらって当たり前、そうして自分でできることはどんどん減っていくのでしょう。やがて生きることさえも人にしてもらう時代がやってこないよう願いたいものです。掃除ができること、幸せになる条件の一つです。
ぞうきんは 他のよごれを
一生懸命 ふいて
自分は よごれに まみれている 榎本栄一