朝夕はまだ冷え込んで寒さを感じますが、日中の日差しはずいぶんやわらかくなりました。
「氷が解けると何になる」という問いに、ほとんどの子供、大人は「水になる」と答えます。戦前だったら「氷が解けると春になる」という答えがあったそうです。戦後教育の中で、いつの間にか私たちは科学的な合理主義で物事を見るようになってしまいました。
人間の能力にはAbility(知的能力、試験に適している)とCapacity(人間関係調整能力、試験に不適)の2つがあり、前者は量的なもの、後者は質的なものです。キャパシティというものは「この人といると何かゆっくりするわ」といったような包容力のようなものです。今、教育の中で子供たちには「氷が解けると水になる」というAbilityを求めますが、「春になる」というCapacityを身に着けさせることを疎かにしてきたようです。モンゴルの遊牧民の子供に日本の記者が「何が一番たのしい?」と聞けば「高原の緑がたのしい。だって、羊が喜ぶし、お父さん、お母さんも笑顔だから」と答えたそうです。感じる力(自分自身と周りの人、事柄について)を大人も、子供も広く、大きく持ちたいなと春を感じる日差しを浴びて思いました。