第49回卒業証書授与式

 3年前、私がここ清和台中学校に着任した年に入学してきた子どもたちが、今日卒業しました。

 子どもたちが入学してきた3年前は、まさに世の中はコロナ禍であり、何をするにも感染状況に振り回される毎日でした。授業や行事、そして部活動・・・中学校生活の中で、本来なら、色々なことに思い切り打ち込み、成果を出すべきこの時期に流行した新型コロナウイルス感染症。この見えない敵のために、がまんしなくてはならなかったこと、たくさんあったのではないかと思います。

  新しい学校に入学して、これから新しいことにチャレンジしたいと思いながらも、十分な活動ができないと感じたかもしれません。

 令和元年度末・・・卒業生が小学校の5年生の終わり頃、この感染症の脅威が、兵庫県でもいよいよ自分事としてとらえられ始め、強い対策が取られました。全世界が見えない敵におびえ、前例のないことに立ち向かっていかなければなりませんでした。

 「どうしたら克服できるのか」「どうしたら防げるのか」・・・当時何の根拠もないまま、様々なことを停止し、感染者が減少すれば「元の生活に戻れる」と喜び、再び増えると落胆し・・・そして感染がなかなかおさまらないと、自分と反対の意見の人を責める・・・そんな人間としての弱いところが、多くの大人に見られたように思います。

 でも当時、私が子どもたちにわかってほしかったのは、ネット等で様々な情報が飛び交い、不安になることもあるかもしれないけれど、子どもたちの周りには、その取り組みが「うまくいく、いかない」はあったとしても、それぞれの持ち場の中で、目の前の敵と戦おうとしていた人たちがほとんどであったこと。

 そして多くの人が、これから社会に羽ばたいていく、未来ある子どもたちのために、「この状況をどうにかしないと・・・」と一生懸命考え、取り組んでいたということです。

 本校においても、迷い、悩むことの多い中、何をしても賛否両論がある中、それでも中学校生活のあらゆる場面で、子どもたちの様子をみながら、「この条件の中でできることは何か」常に探していた教職員の姿がありました。

 そしてその気持ちに応えようと、思いは色々あったとは思いますが、私たち教職員の話を理解しようとし、与えられた条件の中で精一杯楽しみ、学び、活動しようとしてくれた子どもたちの姿に、私たち教職員は当時、どれだけ支えられたか。

 時が流れ、感染状況、そして世の中のとらえ方も一定のおさまりをみせ、感染状況に注意しながらではありますが、できることが増え、学校の行事も徐々に再開されていきました。全学年そろっての体育大会や学習発表会の合唱、2泊3日の修学旅行・・・以前は当たり前として行っていたことが、こんなにもありがたいことだったのだと、子どもたちの一生けんめいに取り組む姿、そして何より笑顔を見て、改めて思い知らされました。

 3年間、私たち教職員に、多くの思い出と、力をくれた子どもたちに・・・・。

 ありがとう。そして、 卒業おめでとう。